2-4.(続)男・女性ホルモンの話


ここで、またも第一章の皮膚科学に戻ります。
その中で、
 
「皮膚の中はアルカリ性で外側は酸性」
 
の話を思い出してください。
 
その境目はどうなっているのか気になりませんか?
 
ここは大変重要なことです。
 
体全体を覆っている皮膚の一番表面を表皮といい、
その内側を真皮と言います。
この表皮と真皮の境目には、バリアがあります。
 
実は、このバリアは全身に張り巡らされていて、
ここを境に体内は弱アルカリ、
体外は弱酸性分けられます。
このバリアがなければ、人はたちまちオダブツです。

このバリアは大変強く、めったな物は通過できません。
ただ、粘膜と言われる口の中、耳の中、肛門の中には、
バリアが無く、何でも浸透してしまいます。

例えば、青酸カリ溶液を手足に垂らしても平気ですが、
粘膜である口の中、肛門の中に垂らすと、たちまちチーンです。
 
赤ちゃんが発熱した時は薬を飲ませにくいので、
座薬としてお尻に解熱剤を入れます。
それで熱が下がるのは、その作用を利用したものです。

座薬をバリアのある手に握らせても、額に垂らしても
全く熱が下がらないのは、このような理由です。

先程、めったな物はバリアを通過しないとお話ししましたが、
そのバリアを通貨するごく少数の物もあります。

カドミウムはその一つで、カドミウムが溶け込んだ
水の中に素足で入ると、カドミウム中毒(イタイイタイ病)
になったりします。

その他、硫化セレン、ホルモンなどもその少数派です。
「えっ」とビックリした方がいるでしょうか。
 
そうです、ホルモンもバリアを通り抜けるのです。

では女性ホルモンを頭にふりかけると効果があるのでは?
大当たりです。
ただし、大きな問題が2つあります。

その前に、お話を少し遠回りをします。

昔、「毛はえ薬」というのは男性専用のような風潮がありました。
それは高価で猛烈な香りがし、すれ違ったら
「あっ、この人毛はえ薬つけている」

とわかる上、半日以上その匂いがする有様で、
とても繊細な女性が
ふるかけられるような品ではありませんでした。
更に、まだオマケがあります。 それは、

あまり効き目がありませんでした。

そこには理由があります。

一般的に、毛を生やすと考えられる薬を
「酵素賦活剤(こうそふかつざい)」
といいますが、これは先程お話した
バリアを通過できません。
(出来た場合、これを経皮吸収といいます)

どんなに強力な薬でもバリアを通過して、
毛根の細胞分裂している現場(毛母細胞といいます)
まで届かなければまったくムダとなってしまいます。

昔、ある会社は

「薬が毛穴を通して毛根までいく」

といいました。

確かに毛根のところから表皮のところまで毛穴はあります。
しかし、1本1本の毛穴の中に「皮脂嚢(ひしのう)」があり、
そこから油性である皮脂が分泌され、
毛穴を皮脂で満たしています。

そのため、薬を油性にしなければ毛根には入れません。

やっと入っても、皮脂嚢から下は水性なので、
結局は細胞分裂して髪を作っている
毛母細胞まで行く事は出来ません。

もちろん薬を水性にしても、
油性の皮脂が充満した穴を通れないのはお分かりの通りです。

要するに、

皮膚は排泄器官、粘膜は吸収器官

といえば分かりやすいでしょうか。

ところで、

世の中には捨てる神あれば、拾う神(髪?)ありで、
バリアを通過する数少ない強い味方、
女性ホルモンが登場します。
(昔から、女性は強いと決まっていますよね?おっと失礼)

先程、「大きな問題が2つあります」と書きました。
そこに戻りましょう。

1つ目は、

「男性には女性ホルモンは一定量しか使用(投与)は出来ない」

と、国際的に定まっていることです。
男性には女性ホルモンを大量に使用すると、
女性化するからです。

症状は体毛が退化し、
おっぱいが肥大化、など男性の機能がなくなります。

すなわち、去勢と同じ状態になり、
人権問題にも発展する可能性があるからです。

笑い話として、奥さんのフェイスクリームを長期間、
ひげ剃り後のクリーム代わりに使用している内に、
髭が次第に薄くなって来た、
おっぱいが膨らんできたという話があります。

2つ目は、
ホルモンの特性として、

男女問わず外部からどんどんホルモンを与えると、
自分の体内で作るのを止めてしまう危険がある

といわれていることです。

だからと言って、そうなってから
外部からの注入を中止しても、
また製造機能が復活することはありません。

ですので、一定量以上外部からの補給は危険と思われます。

もちろん、これも男女や個人で大きな差があります。

一応、男性用、女性用と区別のある品物は注意が必要です。
更に、化粧品または、医薬部外品と記載があれば、

乱用しなければ安全でしょう。

 
さて、第2章はこれで終了です。
 
次回から、第3章に入ります。「3-1.リンス、へコンディショナー、トリートメント、ヘアパッってどう違うの? 正しい使用法は?」を予定しています。

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